TikTokと音楽カルチャーの親和性について考える

今や若者たちの間だけではなく、著名人もこぞってTikTokで動画を投稿しています。

きっとこの記事を読んでいる30代以上の方々にはピンとこないかもしれませんが、現代の音楽カルチャーとTikTokはすでに切っても切り離せない状態まで来ています。

FacebookもTikTokと同じようなサービスを開始し、「次に来るのはTikTokだ」と各種メディアでもささやかれています。そんな若者向けのアプリが音楽とどのような親和性があるのでしょうか。

そもそもTikTokって何?

TikTok(ティックトック)は、全世界で10億ダウンロードを達成した15秒のショートムービー投稿型のSNSアプリです。運営元は中国のByteDanceという会社です。

ショートムービー投稿のサービスは、昔はVineといった動画投稿サービスがありましたが、すぐに下火になりサービス停止。日本ではあまり浸透しませんでしたが、SNAPCHATという動画系のSNSもありますが、昨今のInstagramやTikTokにアクティブユーザーを奪われて、サービス自体は瀕死の状態です。

今やTwitterのように各自治体がアカウントを開設しており、誰でも動画投稿・動画視聴ができるサービスになっています。

アプリを開くと、洋楽に合わせてダンスをしている猫が登場したと思えば、JKがダンスをしていたり。ダンス系の動画だけかと思えば、祖母が可愛い!と曲とは関係なしにおばあちゃんを写しているだけの動画があるなど、素人からプロまで色々な動画が見られます。

動画投稿だとYouTubeやInstagramと何が違うんだろうか…と思われる方が多いかもしれませんが、InstagramやTwitterで以前から楽しまれていた「踊ってみた」系の音楽主導型ミーム(人から人へと伝わる情報や行動…例:口パクの動画などであれば私も真似してみようと思い、動画が派生するといった行動)にビジネスモデルを見出したところです。

 

 

著作権とTikTok

今になってはインターネットによる音楽配信は当たり前のものになっており、YouTubeでの楽曲再生やSpotifyによる配信サービスなどは法的な整備も整ってきており、アーティストに利益が還元できるモデルが出来上がっていました。

しかし、二次利用となると、YouTubeは著作権所有者が無断利用がないか独自で調べられるシステムを採用し、違法利用している動画を配信停止することなどで著作権を守ってきました。

TikTokはもっと有効な解決策を見出したようです。それは、TikTok自体が複数のレコード会社やアーティストと提携し、使用許可が出た楽曲をダンスミュージックとしてユーザーに提供できるようにしました。

こうすることで著作権違反の動画ではなく、公式な二次制作動画になり、アーティスト側にも還元されるモデルが出来上がりました。

SNSと音楽

SNSは自身と周囲の繋がりを求める現代の若者にはアイデンティティーを確立するためには必須のアイテムであり、SNSと音楽主導型のミームは切っても切り離せない関係にあります。

数年前であれば通信速度や画質の面から、Twitterや声だけの「歌ってみた」系の配信が主流でしたが、SNSの進化とともに求められる音楽が変化してきています。

15秒という短い時間で手軽にみられる動画が主流となった今は、15秒で再現できる「踊ってみた」系が主流となり、必然的にダンスミュージックや踊りやすいテンポ感の曲が人気になりやすくなります。

踊りやすいテンポ感と一言でくくりましたが、2017年頃からはBPMが70~90などのパッと聴いたときに遅く感じる楽曲が主流になっています。それにはまた別の理由があるのですが、それはまた別の機会に…。

話は戻りますが、その踊りやすさの流行を見出したアーティストは即座にTikTokに楽曲提供しており、TikTokで人気が出ればヒットする流れまで出てきています。Lil Nas X「Old twon road」はTikTokから世界的にヒットした楽曲で一番有名なのではないでしょうか。

特にこのヒップホップというジャンルは言葉の繰り返しが多く用いらていたりと、音楽主導型ミームに必要な「使いやすさ・真似しやすさ・問題喚起」を兼ね備えています。Old twon roadもそれに該当します。

日本の10代には意味が分かりにくい英語圏の楽曲でも世界的な流行になれば、その楽曲を使用した動画を投稿する日本人も出てきます。その結果日本でも有名になるといった構図が出来上がります。

TikTokでのマネタイズが確立された今や、アメリカの若手アーティストは、売れている・売れていないに関わらず、新たなヒットソングを生み出すために自らの曲をTikTokへ提供し、自ら歌ったり踊ったりするプロモーションも主流になりつつあります。

SNSの移り変わりは早く、10年後もTikTokが流行しているかはわかりませんが、少なくとも音楽カルチャーとの親和性・マネタイズ能力は群を抜いて強いモデルだと思われます。TikTokからバズる邦楽新人アーティストがそろそろ出てきてもおかしくないころかもしれません。

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