なぜ邦楽ロックが生き残ったのか、海外との違いとは?

※下の記事を読んでいなければまず、そちらの記事を読むことをお勧めします。

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以前書いたように世界的にみるとロックは過去の音楽となっています。しかし、日本では例外的にロックバンドが音楽シーンの最前線を走っており、ロックフェスも増加傾向にあります。

日本の音楽マーケットはガラパゴスだと揶揄されていますが、なぜここまで世界と音楽の流行が変化したのでしょうか。音楽の文化的な違いや、インターネットと音楽の関係性などが関係してきます。

現代の音楽の聴き方

海外、特にアメリカは日本以上に流行に敏感です。流行の音楽、流行のファッション…etc、日本の10代よりもアメリカの10代の方が流行を意識しています。インスタ映えなんかは分かりやすい例ですよね。海外の方が過激な投稿が目立ち、規制されているくらいです。

特にアメリカはポップミュージックを消費するもののような捉え方をしており、日本の芸能界以上に移り変わりが激しい世界です。そんな中で同じジャンルが最前線を走り続けるのは無理が出てきます。

そんな中でインターネットにより数多くの音楽が世間に知れ渡りました。今までニッチなジャンルで活動してきたアーティストも全世界に発信できる状況になり、自分が好きなものと世界で流行となっているものの境界線が曖昧になってしまったのではないかと考えられます。その結果、流行っているものはさらに流行り、古いものは1年もたてば時代遅れになってしまうような音楽消費をしてしまう状況に陥っています。

ロックバンドというのはメンバーで集まり、曲を作るため、1人で作曲するようなDJなどとはフレキシビリティが異なってきます。DJをはじめとするEDMが台頭してきた理由の一つとして、今の音楽消費にマッチしたのではないかと考えられます。

また海外ではホームパーティーなどでも音楽を流しながら踊るといった文化が浸透していることから、単に音楽を聴きに行くライブハウスよりもクラブで踊りにいく文化の方が浸透しています。それもロックからダンスミュージックにシーンが移った要因だと考えられます。

日本には特にクラブに行くという文化はまったくと言っていいほどニッチな趣味としか捉えられてなく、クラブ=パリピが行く怖い場所みたいな認識の人も多くいるのではないでしょうか。

EDMは現代のクラブとの親和性はすごく高いのですが、クラブ文化が根付かなかった日本では市民権を得られず、ロックバンドがそのまま生き残った要因のひとつになっていると考えられます。

インターネットと音楽の聴き方の変化

このブログでは他の記事でも、インターネットによって音楽が変化していることを色々な角度から分析しています。しかし中にはテレビの方がまだ影響力があるのではないかと思っている人もいるかもしれませんが、果たしてそうでしょうか。

昔からテレビがあったから、インターネットが普及しなくとも流行はそこまで変わりないんじゃないかという意見もあると思います。テレビはその曲を流すために時間を設けており、曲の披露も一種のエンターテイメントとして扱われています。今の10代の人にはなじみがないかもしれませんが、マイケル・ジャクソンなどはその最たる例です。曲の披露についてもエンターテイメント性をもたせ、前奏を長くとっている曲ではダンスを踊るなどして飽きさせない魅せ方を考えていたと思われます。

しかし、インターネットが普及してテレビで音楽を聴かなくなった世代はどうでしょうか。SpotifyやYouTubeなどで新曲を聴くときに、前奏から歌いだしまでが長いと曲の再生をやめてしまう人も多くいるように感じます。
「前奏長いからもういいや」とか「前奏が長いとだれるよね」みたいな意見があり、これは日本でも海外でも同じような状態になっています。

この部分が特に流行を左右したと思っており、特にメタルは前奏が極端に長く1分以上演奏をしてからボーカルが入る曲も珍しくありません。まぁメタルは特殊過ぎましたが、レッチリの曲で考えてみましょう。

確かにカッコいいですが、今の時代に新曲として発表されると売れるかは微妙ですよね。音作りも古いということもありますが、いちばんはテンポが速い曲なのに前奏が長い。バラードや静かな曲調では前奏が長いこともありますが、特にYouTubeで音楽を聴くことが当たり前になった2010年代からは歌から曲が始まるものも多くなったと思います。

バンドというのはギターやベースもバックで演奏しているだけではないので、メインとなるような演出をするために前奏で印象的なメロディーを弾くことも多くありますが、それが時代とミスマッチしたと思われます。

それは日本も一緒では?と思われる方、その考えは正解なのですが、流行するスピードを考えてみると日本のロックバンドにはミスマッチを埋められる十分な時間があります。

日本はCDで音楽を聴くという文化がいつまで経っても残り続けていたので、1枚をゆっくり聴く。といった聴き方をしているリスナーが多くいたため、早急に曲作りを変えなければならない状況ではありませんでした。しかし、徐々に若い世代がCDを買わなくなり、インターネットで音楽を聴かせるためにいため、どうしたらいいのか…と考えられ始めてから曲作りに変化が出るようになりました。

海外とは数年の差があり、海外では当たり前となったテンポ感や前奏の短さ等も数年遅れで取り入れることが多かったため、結果としてロックバンドがそのまま流行りのスタイルを取り入れることに成功したといえます。

これからもロックバンドが流行るのか

これは少しばかり黄色信号が灯っていると言えます。最近はKing GnuやOfficial髭男dismといった新しいロックバンドが人気を博していますが、近年の流行を見てみると、米津玄師や星野源などバンドミュージックは基調に置きつつも、自由度が高い作曲ができるソロアーティストとして活躍している人の人気の方が高いように感じます。

これはネット社会での流行に対応できる人が人気が出やすいということの表れでもあるのかと思います。確かにそれぞれドラマのタイアップもありましたが、それでも他のドラマのタイアップと人気の出方が違ったのは数多くの曲が消費されるネットにおいて、歌始まりの曲であったり流行りのテンポを意識していた曲作りができたアーティストであったからだと思われます。

今後日本の音楽業界の最前線にバンドが生き残るためには、人気の曲作りを意識しつつ独自の色を見せてくれるような新たな試みが必要なのかもしれません。

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