rock ‘n’ roll is DEAD -なぜ海外のロックは死んだのか-

190年代よりも前から"ロックは死んだ"と数多くのアーティストが発言しています。ビートルズに在籍していたジョンレノンも"ロックは商業的になり過ぎた。ロックは死んだ"との発言をしています。元々カウンターカルチャーであったロックが市民権を得て、メインストリームに躍り出たために出た発言だと推測されます。

しかし2010年代に入ると、それまで音楽シーンの主役を担っていたロックが本格的な終焉を迎えていきます。日本では例外的にロックバンドがシーンの最前線を担っていますが、海外の音楽シーンはまったく別の様相をみせています。

音楽ストリーミングサービスSpotifyの年間再生ランキングをみると2017年、2018年ともにDrakeやKendrick Lamarといったヒップホップ勢が首位をとっており、ロックバンドの名前が全く見えてきません。

音楽の流行も周期がある

音楽の流行に周期があることはよく言われています。日本の分かりやすい例を挙げるとすると、2000年代に浜崎あゆみや倖田來未などの女性ボーカルが流行った時代がありましたが、その後EXILEや嵐が特に流行した時期を経て、AKBグループ…現在では星野源や米津玄師といった男性のシンガーソングライターが流行していることが想像つくと思います。

少し細かくし過ぎましたが、大きな流行の流れをくみとっても音楽シーンの流行り廃りは周期があることは確かです。
ロックが爆発的に流行したのはやはりローリングストーンズやビートルズが出てきた1960年代です。その後パンクロックが流行り、メタル、グランジ、オルタナティブと時代を追うごとに細かいジャンルは違えどロックミュージックが音楽の最前線を走っていました。

もちろんその間にマイケル・ジャクソンやスティービーワンダーなど数多くのアーティストが音楽業界を賑わせていましたが、現在のようにすべてのロックバンドが売れない状況はありませんでした。

これは、今までとは違う音楽を聴きたいリスナーの心理を、ロックの細分化されたジャンルたちが交代で掴んでいたのではないかと推測されます。

それが現在ではEDMが出てきた後、ヒップホップが流行しています。1990年代から2000年頃にもヒップホップが流行していましたが、現在の流行はその頃よりも大きなマーケットを占めています。

ロックはというと2000年代から変化を見せ始めたのではないかと思われます。2010年前後にロックンロールリバイバルといった1960年代や1970年代に流行したようなパンクロックやガレージロックを基調としたバンドが多く輩出されていきました。一時的に人気を博しましたが、長くは続きませんでした。変化を与えたのはインターネットの普及とPCの性能向上です。

PCによってロックは死んだ

音楽というものは本来大きなスタジオで多人数で作成するものでした。全員で息を合わせて、コード進行などを考えて曲を作り上げていく。そのような作曲活動が一般的でした。そのため音楽を始めてみたいという人は楽器を持ち、周りの友人などとバンドを組むというのがセオリーのようなものとなっていました。

PCと音楽制作の関係性

話は少し変わりますが、1995年にWindows95が発売され家庭用PCは普及し始めましたが、まだPCを持っていない家庭の方が多かったのではないでしょうか、それがWindows98、Windows2000と、OSの進化とともにPCが一家に1台レベルまで普及することとなりました。その間にADSL回線が普及し始め、ネット接続は定額制が当たり前になりました。

音楽に話を戻します。PCの普及とネット回線の整備、双方が揃うことで自宅でも簡単に音楽制作の過程を調べることができます。はじめはギターなど楽器が弾ける人をネットで探していた李していたかもしれません。それがPCの進化によって、自分一人でも簡単に楽器の録音と編集ができるようになります。

さらにはPCに多数のソフトを導入することで自宅のPC内で音の作成から曲作り、ミックスなどの編集といった全工程を済ませることが可能になりました。他人と時間を合わせたり、演奏できるパートを確認しながら探す作業が省かれるため、PCの進化により音楽を始めるハードルが極端に下がりました。

確かに他人と合わせて演奏するといった気持ちよさもありますが、それは音楽を始めて少し経過しなければ分からない高揚感です。全く楽器を演奏できなくとも曲作りが可能になってしまう現代のソフトウェアはそのような高揚感は味わうことはできなくとも、誰でも曲が作れる満足感を得られる最高のツールとなったのではないでしょうか。

マッシュアップやリミックスの普及

PCで簡単に作業ができることで、アナログ時代には難しかったDJプレイもハードルが下がりました。リズムを合わせたりする際もPCがサポートしてくれるため、なんちゃってDJみたいなお遊びでも音が簡単に合わせられて楽しむことができます。

そしてインターネットの普及により音源の獲得などが昔よりも簡単になったため、ギターの演奏から音楽の趣味を始めるのではなく、元々ある素晴らしい楽曲たちを自分の好きなように再生できるDJプレイなどから音楽を始める人が増えたのではないでしょうか。

PCでの作業が主流となった2000年代からは"音楽を始める=バンドで音楽を作る"ではなく"音楽を始める=PCで音楽を作る"という流れになったのではないかと推測されます。

その結果、リズムをループさせつつ、一人でも曲が作れたり、リミックスなどとも相性が良いEDMの楽曲が海外を中心に爆発的に増加したのでしょう。新しい音楽がたくさんあるジャンルと、古くから使い古したようなギターリフなどに飽きはじめた若者たちがEDMに流れていくのは必然的な流れではなかったのかと思います。

2010年代後半からの音楽シーンとロックの関係性

2010年頃からロックとEDMの流行は逆転し始めていきます。本格的に音楽としてのロックが終わろうとしている状況となりました。そこからはまったく復活することはなく、2010年代後半には経済的にも音楽シーンが復活し始めており、ライブやクラブでDJが曲を流すだけでは飽きてきたリスナーが次に求めたのは”生の歌声”です。

PCで作業していたトラックメイカーたちはロックに戻るのではなく、シンセや打ち込みドラムと相性の良いヒップホップへと活動の場を移行し始めていきます。

YouTubeなどでヒップホップアーティストのライブをみると分かりますが、彼らはライブでは生音を積極的に使うケースがどんどんと増えてきています。音源は打ち込みドラムとシンセベースなのにライブでは生のドラムにエレキベースで演奏なんて曲もあったりします。

自身の声で勝負する彼らだからこそ、打ち込みなどと生音の情報量の差を感じるため、楽器隊と一緒にライブをするのかもしれません。

ロックは死んだと何回言われたかわかりませんが、2010年以降の衰退した状況をみると今回ばかりは本格的な終焉を迎えてしまう可能性すら感じてしまいます。今後ロックが音楽シーンを賑わせるためにはほかのジャンルとの融合が必要不可欠だと思います。

summersonic2019のヘッドライナーでもあったThe ChainsmokersもEDMのアーティストですがライブではドラマーを起用していました。DJプレイをする彼らですら、生の音というのを重要視し始めているのです。最少人数で音を出すことに長けているロックバンドは、生の演奏は得意分野です。

ジャンルレスに音楽を取り込みつつ、演奏を大切にする。当たり前だけど難しいことをやってのける底力をロックバンドが見せてくれる日を楽しみに待ちましょう。

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