まだチケットノルマに縛られているの?思考停止したライブハウス

自分はチケットノルマ制の廃止を訴えているわけではありません。ワンドリンク制やチケットノルマ制だけではライブハウスからアーティストが離れるリスクもありますよ。と問題提起している記事になります。

 

こんにちは、最近MDを知らない世代が社会人になっていることに驚きを隠せない〇〇歳の@miyamoriKO_BO_です。

YouTubeや音楽サブスクリプションサービスが当たり前になった現代で、CDショップと同じくらい逆境に立たされている場所があります。

 

そう、“ライブハウス”です。

ちょっと待って、ライブってこれからさらに人気が出るからライブハウスも儲かるんじゃないの?
 

確かに以前の記事でライブはこれからの音楽業界でさらに売り上げが伸びるコンテンツだと言いました。もちろんその考えは変わっていません。

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しかし、ライブではなくライブハウスの経営が安泰かと問われれば“YES”とは言い切れないでしょう。

この記事では主にアマチュアやインディーズのミュージシャンが利用する小規模(200~300人前後、またはそれ以下の定員数)のライブハウスについて書いていきます。

あくまで一人の利用者としての意見ですので、「お前は何にもわかっちゃいねぇ!」みたいな指摘があるかもしれませんが、ご了承ください。

チケットノルマとは

アマチュアバンドや学生が出演できる小さなライブハウスでは、出演者(バンドなど)と「〇〇円のチケットを最低で〇〇枚は売ってください。」といった約束をします。

その“1枚あたりのチケット代×提示された最低枚数”がチケットノルマです。このチケットノルマは売れ残ったチケットはミュージシャンが買い取りという形で料金を支払う必要があります。

例:1600円のチケット10枚がチケットノルマで、5枚しか売れませんでした。
1600円×10枚=16000円 そのうち半分が売れ残ったので、8000円支払う必要があります。

つまり1枚も売れない出演者はマックスの16000円を自腹で払わなくてはなりません。

逆にノルマより多い売り上げがあった場合は、出演者側にキャッシュバックされる仕組みになっています。上の例えのように10枚がノルマであれば、「11枚以上は売り上げの半分は出演者に支払います。」といった形です。

なぜチケットノルマができたの?

1000人とかそれ以上入るようなライブハウスやアリーナには使用料が存在します。1時間借りるならいくら。1日だといくら。といった形でミュージシャン側に請求をします。

しかし小さなライブハウスだとどうでしょう。
照明や音響設備の購入資金・スタッフへの給料などライブハウスを運営するのに1日に8万円の売り上げが必要だとします。

人気のミュージシャンが出演してくれれば枚数を指定しなくてもチケットは簡単に売れるでしょうし、問題はありません。

しかし人気が出たミュージシャンになると「もっと大きいライブハウスで活動したい」とか「全国ツアーでスケジュールがうまっている」などを理由に小さなライブハウスの出演がなくなります。

ライブがないとチケットが売れないので、ライブハウスとして運営できません。誰も知らないアマチュアミュージシャンが場所代だけで8万円だとさすがに出演はしないだろうと思います。

「8万!?そんなに払えるわけねぇ!!」と一蹴されて二度と連絡されないでしょう。

それではライブハウスが潰れてしまうので、8万円を確実に得るために、それぞれのミュージシャンやイベンターさんに負担を分散させているのがチケットノルマになります。

海外にはチケットノルマはない!?

これは今では有名な話ですよね。アメリカやヨーロッパはミュージシャン側にチケットノルマが課せられないケースがほとんどです。

これは演奏している場所がバーの一角だったり、何か別の場所にライブスペースがある場所が多いようです。ですので、チケットノルマはないけれどもオーディションなどによって出演者の選考はしているようです。

日本でいえばジャズバーなどはそのような活動形態ですね。日本でもジャズバーは店のチャージ料や飲食代で売り上げをカバーできるため、チケットノルマがない場所が多いです。

チケットノルマのないところだとオーデションが厳しいなどデメリットもあるので、音楽初心者には出演は敷居が高いです。

 

増えすぎたライブハウス

ライブハウスというのは、昔から数多くあったわけではありません。1990年代のバンドブームという波に乗り、2000年代まで多くのライブハウスができました。

2010年代は地下アイドルという新たなジャンルで新たなライブハウスがオープンしたり、既存のライブハウスは新規顧客の獲得ができたりなど、少し活気を取り戻していました。しかし2020年を目前に、YouTubeやニコニコ動画によってリスナーのみならずミュージシャン側の発信方法が変化してきています。

音楽会場総合サイトのライブ部の統計データによると2013年以降は毎年60以上のライブハウスを含める音楽会場が閉店しているそうです。

地下アイドルも一時期のころより客層がコアに戻り、世間での人気度は落ちているように感じます。

 

ライブハウスのお客さんって誰?

ライブハウス文化ができた90年後半から00年代前半はバンプとかアジカンが出てきた時代です。そのほかにもエルレやホルモンなど、いわゆる邦楽ロックと呼ばれるジャンルが確立された世代でもあります。

いやー、この並びを見るだけでもすばらしいですよね。

その頃はバンドも数多くあり、ライブハウス毎にファンがいたりしたそうです。インターネットが普及し始めたころなので、ブッキングスタッフのセンスがそのままファンの獲得につながった時代でしょう。

その頃はまだリスナーがお客さんでした。それが今となってはどうでしょうか。

ライブハウスに音楽を聴きに来るリスナーがほとんどいなくなり、ライブハウスのお客さんはチケットノルマを払ってくれるミュージシャンになっています。

もちろん売り上げの中に見に来てくれた人が支払ったドリンク代などもありますが、アマチュアバンドを見に来る人の人数から得られるドリンク代…想像つくと思います。

これはライブハウスも非営利団体でボランティアとしてやっているわけではないので、収入を安定させるには当然の流れだと思います。

楽器を買うのにお金がかかります。音源を作るのにお金がかかります。なのに大きい場所で演奏するのはお金がかかりません。ってなりませんからね。

実際ライブハウス側も、絶対にノルマをつけろって人たちより、運営するうえでお金は必要だからノルマをかけるというところが多いのではないでしょうか。

この論争自体10年前でも言われてたと思いますし、画期的な解決方法があれば文句が少ない新しい方法に乗り換えると思います。

ライブハウスからの誘いは単なる営業

もう少し集客頑張らなきゃねー。んで次、いつ頃ライブしますか?

これはライブハウスに出演者として経験がある人だと同じような言葉を言われませんでしたか。逆にライブハウスさん側は流れで軽くこの言葉使っていませんか?

結局何の解決方法も見出していないのにブッキングをしようとするライブハウス…露骨な営業ですよね。

ライブでしか得られない経験があるから、次のブッキングに良いバンドが出てくるから…そんなうたい文句で次の収益にこじつけようとしている人も少なからずいるでしょう。

そんな営業を続けた結果が、

①誰にでも構わずブッキング(営業)をする
②実力不足なミュージシャンしか集まらないことが多い
③ライブハウスもミュージシャンも集客しない(できない)
④演奏を見に来てくれる客がいない
⑤チケットを購入してくれる客がいないため、チケットノルマでとりあえずその場をしのぐ
⑥根本的な解決はできないまま①に戻る

こんな負の連鎖を助長している一因になってしまっているのです。

もちろんミュージシャン側に落ち度がないわけではないのですが、今回はライブハウス側に焦点を当てて意見しています。

チケットノルマによって離れる若手ミュージシャン

上に書いたような負の連鎖を断ち切るために、ライブバー形式の飲食を中心とした店舗展開をしたところ。出演するミュージシャンは全てオーディションを行って、出演者からお金をとらないところ。と新たな試みをするライブハウスも出てきました。

最近ではクラウドファンディングでドリンク代無料にして新規客を獲得しようとしているライブハウスもあります。

しかし大部分のライブハウスは運営方法を変えずに、チケットノルマの収入に頼っている現状があります。

それがなぜミュージシャンが離れていく原因になるのでしょうか。

動画配信サービス中心の若者

今の時代はほとんどの人がスマホで音楽を聴いています。もちろん専用のプレイヤーなどを利用している人も多いと思いますが、少数派でしょう。

そしてMMD研究所の2017年の調査では大半の人がYouTubeを音楽視聴に利用しています。

CDやダウンロードの比率は年々下がっており、CDがなくとも音楽サブスクリプションかYouTubeに曲があればアーティストとして認知されると思われます。

そして今はYouTubeやニコニコ動画に手軽に投稿できる土壌が出来上がりました。“神様、僕は気づいてしまった”や“ヒトリエ”というバンドはニコニコ動画の歌ってみたなどから出てきています。

米津玄師はボカロP(ボーカロイドを使って自分のオリジナル曲を発表する人)から人気が出てきて、音楽シーンの中心となった現状があります。

そうなってくると音楽を目指す人の主な活動場所が小規模なライブハウスから動画になると予測されます。ビデオカメラも安くなっているので、今はチケットノルマで支払うお金があればビデオカメラが買えてしまいます。

同じお金を払うのであれば、記録も残るし動画配信を主軸に活動する若手ミュージシャンが多くなることが予測されませんか?

少なくとも自分が高校生であれば、そうします。ギターやベースを買った後、オーディオインターフェースを買って、次にビデオカメラ…そこで活動してからライブするか考える。みたいなスタンスで音楽を始めると思います。

すべての人が同じ意見だとは思いませんが、CDを買ったことがない人が当たり前にいる世代なので予測がつきません(笑)

そうなってくると小規模なライブハウスは若手のミュージシャンが生で活動したい時にだけ使われる場所になります。今ほどライブハウスは必要なくなります。

それなのにチケットノルマが~とか言っていると、「お金を払ってまでライブをするメリットが分からない」とデジタル世代に置いてけぼりをくらいかねません。

それを肌で感じた年上アマチュアバンドの先輩方も、ライブハウスへの出演回数が減って、動画に力を入れる可能性も十分にあります。

すこし極端な考え方ですが、それでもチケットノルマという時代に合わない制度をまだ続けますか?と問題提起したかったのです。

チケットノルマにかわる新たな収益モデルは?

ここまで吹っ掛けておいて、解決法考えんのかい!と突っ込まれないために一応自分の考えを書いておきます。

ちなみにミュージシャンのプロモーションをライブハウスが手伝う。といった意見は昔からのありますが、全出演者さんにそれをやるのは不可能に近いと思いますし、できてたら誰かがやっていたことでしょう。

ライブハウスの収益を上げるためにできることはたったひとつです。
「ライブハウスの価値を高める」

えーっと、当たり前のことじゃないですか?

そう思われた方、その通りです。当たり前のことです。

しかし、ライブハウス自体の価値を高めることって今まで積極的にしてきた経営者って少ないと思うんです。

もちろんある程度はブランディングなどやってきたのかもしれませんが、まだ足りないというのが正しいのかもしれません。

どの側面からの価値を高めるかはライブハウスによって違うと思いますが、やり方はいくらでもあると覆いませんか?これから下は単に考えてみただけなので、実現可能かはわかりません。

クラブとして活動しつつ、生音をバンドに演奏させる

風営法とかそこら辺は知りません。とりあえず、クラブとして営業していて、クラブがオープンしてから30分?とかは若手アーティストの演奏時間とします。

それが終わったらDJと後退しますが、そこでボーカルの人の声をサンプリングして盛り上げたり、ドラムは生音でループ音源風なことをしていたり。

クラブ好きの中には普通にロック好きがいたりします。ノンジャンルで活動することで双方の顧客を獲得できる可能性があります。(双方から離れていくリスクもありますが…)

スポンサーをつける

たまに地方などでは別ジャンルの提携店のチラシがおかれてたりしますが、ライブ会場のSEをバスのように音声広告にしているところはありますか?

転換などに使用される暗幕に広告を載せたりしないのはなぜですか?非日常を体験してきているから嫌だと思う人もいるかもしれませんが、施設名に企業名が入っている時代です。使えるところは使いましょう。

また、クラウドファンディングで閉店したライブハウスやジャズバーを再建するプロジェクトなども見たことがあります。

現在経営中のライブハウスでも新しい機材を導入するときなど支援者を募るのは至極当たり前の世の中になるかもしれません。

動画配信に力を入れる

動画配信サービスに顧客が奪われるのならば、そちら側から呼び込もうという作戦です。

例えば高画質・高音質の動画コンテンツを作成し、「うちでライブするとこの画質でライブ撮影しまっせ!あ、もちろん別料金はかかるけど、チケット代で払うのも可能ですよ!」みたいなことですね。

他にも出演アーティストにインタビューしてみてそれをアップロードするとか。初期投資はやや高いかもしれませんが、やりようは色々あると思います。

本来は出演するバンドにオーディションはあるけど、YouTubeにバンドのチャンネルがあって、登録者が〇〇人以上だとオーディションなし!みたいなサービスをするとか。

アーティストとコラボ商品を作る

これは少しハードルが高いのかもしれませんが、人気のアーティストなどがいれば、そこでしか購入できない商品などを作成するのはどうでしょう。

マージンや作成するグッズなど、費用も時間も空いての選出も含めてハードルは高いですが、ライブハウス側から持ち掛けることってあまりないように感じます。

音楽業界を盛り上げたい仲間である以上、賛同してくれるアーティストもいるはずです。と信じたい(笑)

いずれにしてもwebメディアを最大限に活用する

今の時代はなんでもスマホで事前調べする人がほとんどだと思います。

しかしほとんどのライブハウスは、ただ単に出演スケジュールを記載して、問い合わせ用のメールフォームを作っただけのサイトになっていませんか?

見やすいサイトを作ることやTwitterのアカウントを作成するのは当たり前です。というか、そこでやっとスタートラインです。

出演者のプロフィールを詳細にまとめてみたり、みどころを書いてみたり、別の日に同じようなジャンルの音楽があればそちらもおすすめしてみたり。

人気の企業が行っていることをあまりしていないのではないでしょうか。

インターネットサイトを単なる自社紹介のサイトで終わらせるのはもったいないです。これまでの提案をインターネットを使って知らせるだけでも違ってくるのでは?

まとめ

僕自身も昔はライブハウスでライブをやっており、ライブハウス界隈の活力が戻ることないままバンドが解散して現在にいたります。

20前後のころは「なんでチケットノルマってあるんだよ。」って何も考えずにただ単に自己中心的に思っていた時期もありました。

色々な知識がついた現在は何か意見が変わったかといえば、あまり変わっていません。必要であることはわかってはいるんですが、やっぱり「なんでチケットノルマってあるんだよ。」って同じことを思ってしまいます。

大切な収益ではあるのですが、音楽を手軽に聴ける時代になって、発信することも手軽になっている時代にそぐわない制度だと思っています。

ただでさえ音楽を聴くことにお金を使わない層が増えているのに、自身が発信することにお金を使うことって余計に理解できないことだとさえ思う人も出てくるかもしれません。

そんな危機的状況にあるのに、まだチケットノルマ制を残しますか?

小さいライブハウスには大きなライブハウスにはない存在意義ってのがあるのは百も承知なのですが、ノルマを課すことでそれを知らずに育っていく世代も確実に生まれていきます。

スマホネイティブユーザーの若い世代にも「小さいライブハウス最高!」って思わせるシーンが出来上がれば最高ですね。

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